2013年9月11日水曜日

ホセレイエスJr君 4回目(前編)

ご来場ありがとうございました。


今回は、打撃については、かなり満足の行く進化を遂げる事が出来たと思います。

まず、気が付いた点をいくつか挙げておきます。

●揺らぎに関しては、非常に良いリズムを身につけている。
●振る力自体は中々有るので、普段のバットはもう少し重い方が良い。
●股関節を割る事は出来るようになったが、内股になるクセが有るので、日常的に股割り体操を重視した方が良い。
●良い骨格に育って来ている。
●構えた時、まだ前脚股関節を割る事が出来ていない。
●やはり前脚を閉じたまま着地し、腰の回転が小さい事が問題として残っている。
●新聞紙打ちの時は、余裕を持って始動出来るだけの距離(投げる距離)を保てなかったかもしれない。(ほとんど手を引かずに、ノーモーションで投げていたので、タイミングが取りにくかったかもしれません。)
●前軸の練習では、バットヘッドが身体の前方で走っている。(ヘッドの抜けが良い状態)オートマチックステップでコレが出来る人が少ないので、これは大きな長所。
●揺らぎから打ちに行く「間」で、体重をしっかり地面に落として、地に脚の着いた状態から振れているときは、スイングも重厚感が有って、力強い。
●既に、腰と肩の捻転差を(無意識に作って)身体を(良い意味で)バラバラに使うセンスが育って来ている。これは軽いバットを振って来た効果だと考えられる。
●外角低めを打つフォーム(後ろパワーを使う打ち方)も、少し練習した方が良い。(タイプ的に、後ろ脚をかなり引きずって使う傾向が有るので)
●置きティーをすると、顔の向きの関係で腰が回りにくくなるので、ホセレイエスJr君のタイプを考えると、置きティーはテーマを持った練習(捻りを強調する、硬式木製で硬式球を打つなど)意外には余り使わない方が良い。今回は素振りを重視したので、撮影した動画のスイングも良いのが多かった。
●スクワットダウンで深く沈み込むのが苦手そうだが、やってみると出来るので、股割り体操でお尻を膝より下に落とすくらい腰を落とす練習をした方が良い。

などです。

バットの重さについてですが、軟式野球部に入る場合は特に周囲に合わせて軽いバットで満足してしまわない事が大切です。高校に入ると、一気にバットが900gになりますが、この重さは日本人の高校生の体格を考えると、結構、酷なものです。ですから、今から少しづつ練習で重いバットを使って行く必要が有ります。また、ラボに持って来られたバットは、少し軽すぎます。普段のバットももう少し重い物を振って行った方が良いでしょう。

今は、少年野球を卒団して、中学にアジャストして行く時期なので、そういう取り組みが特に重要になる時期です。なので、バットの重さは少し背伸びをしても良いくらいです。また、中学でも、軟式に入る場合は、特に高校を見据えて重いバットを振る準備をどれだけするかと言う事が非常に重要になります。

ラボで使用した硬式バットは84センチの850gですが、これは長嶋茂雄が使っていたのと同じサイズです。ちなみに、プロ野球で最も短いバットは83.5センチで、最も軽いバットは横浜のロバート(ボビー)・ローズが使用した810gです。中学二年生までは(トレーニングに使うバットは)84センチの850gで充分だと思います。今は短く持ったら良いですが、中二くらいでは長くもって扱えるようになってください。(それで速い球は打てなくても良いですが、置きティーなどでは満足に打てるようにしたら良いと思います。)

そして、中学3年生からは900g平均の表示で売っている木製バットを使えば良いでしょう。中学の野球部を引退してから高校に入学するまでに(トレーニング用として)920gくらいのバットを素早く振れるようになってください。

ただ、単に重いバットを振って行くだけだと、スイングに柔軟性が無くなって行きます。ですから、重いバットを振ったら、バランスを取るために軽いバットも振るようにして下さい。これは特にセンスを育てるために重要です。常に重いバットを振らせていると、筋トレをしながらバットを振っているようなもので、身体を思い通りに動かせないので、センスが育ちません。ですから余裕を持って扱える軽いバットを使っての練習も大切になるわけです。今回、1200gのマスコットバットからホウキまでを振りましたが、そういう感覚で練習するようにしてください。

重いバットを振る時こそ、体重を地面に落として、地に脚をつけて。と言いましたが、その意味を飲み込めたようで、850gのバットを、結構、力強く振れていたのも良かった点です。

ただ、基本的に硬式ボールと、硬式用の木のバットと言うのは「アメリカ人の道具」なので、多くの場合、日本人の野球選手にとって(特にバットは)扱いに苦労するものです。だから日本人は素振りを熱心にするのかもしれません。「重いバットばかり振る」のは良く有りませんが、今から慣らして行く事が大切なのは間違い無い事です。軽いバットを使って来たためか、良いセンスが育っているので、それを壊さないように重いバットを振るようにしていってください。ただ、今の時点で、このくらいのセンスが育っていれば、よほど無茶をしなければ、そんなに悪くはならないと思います。

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では、ラボで行なった練習を書いておきます。この練習はポイントチェックとして、時々で良いので行なうようにしてください。


股関節の割りメソッド(特に重要なテーマです。ホセレイエスJr君にとっても大きな課題ですので、重視してください。まだ構えで前脚股関節が割れていません。)

●手を膝においての股割り(準備体操 この時、腰を深く落とす)
バット割れ絞り体操(可動域を大きく取る目的)
膝自動回旋体操(壁に手をついての膝曲げ伸ばし)
●膝自動回旋を割れ絞り体操で確認(リズム割れ絞りの動きで爪先の開きを我慢)
●膝自動回旋股割り(手で下腿部の回内を誘導)
●回転ジャンプ(左右回転両方 膝の自動回旋トレーニング)
●下腿部と足関節の連動ストレッチ(回内と回外を交互に数回づつ)
●アウトエッジリズム股割り(インエッジを浮かせる)
●足裏掴みストレッチ(下腿部を回内させて、足裏でギュッと掴む)
●足裏掴み股割り(手を身体の真ん中で組み、深く腰を落としてギュッと掴む)
●内転筋ストレッチ(両手をついて、両脚を開く一般的な内転筋ストレッチ)
●リズム股割りで内股のたわみ確認(内腿の定規がたわむイメージ)
●リズム割れ絞りで外側で体重を受ける感覚を確認(爪先を開かない方が解りやすい)
●リズム股割りで外側の張りを確認
●リズム股割りで内側のたわみと外側の張りを交互に確認する
●s字カーブ股割り(鏡を見て姿勢を確認)
●骨盤ハサミ股割り(深く脊柱を前傾)
●3点支持股割り(両手を組んで、重心は高くていい)
●腕との連動を股割りで確認(立ったまま胸椎を後彎させて確認した後、股割りで確認。この時、肘は地面に向け、身体の前方に出す)
●ハムストリングスの効きを踵足踏みスクワットダウンで確認(踵でトントン)
●大殿筋の効きをジャンプリズム股割りと、深く沈んだ股割りで確認
●腸腰筋ストレッチ~8の字揺らぎスクワットダウン(手は身体の近くに置き、踵よりに荷重する。大腿骨が地面と平行になるまで腰を落とす
●構え作りリズムスクワット(塩ビパイプを持って股関節を割りながら、身体を捻る。鏡で膝の向きの違いを確認)
●腸腰筋ストレッチ~揺らぎ構え作り体操(構えで両脚のラインを確認する)
●揺らぎながら構え作ってスイング(素振りが良い)

※)随所に絞りストレッチと腸腰筋その場ステップを挟む(基本的には、股割りをする前に腸腰筋をストレッチ〜股割りトレーニング〜絞りストレッチの順序で行なう。)

※)ホセレイエスJr君の課題として、前脚股関節が割れた構えを作れないということが有ります。両脚のラインを作る練習についても重視してください。

グリップと捻り(上半身の形を作る練習です。これに関しては非常に良く出来ていました。)

●ショートストロークスイング(グリップを絞り、短く持ち、両手の間隔を開ける。スタンスは狭め、重心は高め。)
●上から掴む置きティー(捻りを強調し、ヘッドを投手方向に入れて、両手の間を離す。置きティーで行なう。硬式用バットなど、重いバットで行なうと良い。後で普通のグリップでの修正が必要。)
●懐を開けて、捻る構えからのスイング(事前に腰を反って、懐を開ける事と、捻り方に注意して構えを作って、素振り)
●ボトムハンドで下から支える構えからのスイング(構えができたら、意識しない)
●トップハンドで上から掴む構えからのスイング(構えが出来たら、意識しない)
●上記の内容を総合してスイング(懐を開ける事と、捻り方とグリップを意識)
●トップハンドと後ろ足のフィット感を掴み、スイング(バットはやや短く持ち、両手の間隔もマニー・ラミレスくらい開く。両手とバットのフィット感、両足と地面のフィット感を重視してスイング)
●グリップのコックをキープして構えを作ってスイング(絞って背屈したグリップから体幹部操作に伴い、開いて背屈したグリップを作ってスイング。)

※)最終的に、上半身の良い形が作れている事が重要。


スクワットの力

腸腰筋その場ステップ6 股関節伸展スクワット6
スクワットダウン置きティー 最後、3点支持に切り替える
スクワット後、腸腰筋をストレッチしてから(普通の構えで)スイング

※)筋肉が弱い間は、柔らかいゴムと同じで大きく引っ張らないと力が出ません。ですから、取り組みの初期ほど、特に低い重心で構えて打つ練習が大切になります。筋肉が鍛えられると、硬いゴムと同じになるので、少し引っ張っただけで充分に力が発揮出来るので、あまり重心を下げないでも充分に力が発揮出来ます。ホセレイエスJr君の場合、もう少し低い構えで打つ練習を重視した方が良いと思います。(そういう動画をあまり見ないので)

後ろ脚の力(捻って右脚、右腕の力を使えるようにする練習です。)

バット割れ絞り体操
割れ絞りパンチ
連続素振り
片脚腸腰筋その場ステップ(後ろ脚股関節を割れやすくする)
捻り置きティー

ハムストリングス立ちの感覚(重心を高くする事で、純粋にハムストリングスだけが効いた感覚を掴みやすくなります。)

腸腰筋その場ステップ
ハムストリングスその場足踏み
腸腰筋ストレッチ 左右打席で揺らぎ体操
置きティー(高重心 ワイドスタンス)揺らぎながら、最後に3点支持に切り替える

※)ハムストリングスその場足踏みのポイント(各ポイントを意識し、数回行なう)
1)右脚で踏むと左脚が挙る
2)左脚で踏むと右脚が挙る
3)両脚で下に踏み込む事に意識を集中し、身体を地中深く押し込むイメージで
4)両脚が揃った所で一拍の間を取り、ピタッと止まる感覚を掴む
5)最後に、自分のフィーリングで、10回くらい行なう。


打撃パワートレーニング(重いバットを使う練習方法および練習テーマは、ひとまず下記5点で充分です。)

構え作りバットスクワット
振る力を付ける短いマスコットバットでの素振り
ヘッドの重さに耐性を付けるマスコットバットでの素振り
重いバットでの巻き戻し連続素振り
硬式木製での実打

※)850グラムのバットが良い感じで振れたのは、重いバットの素振りを挟んだからだと思います。悪影響が出ないように注意しながら、定期的に行なうようにしてください。

※)構え作りバットスクワットでは、腰を低く落とせない傾向が有ります。大腿骨が地面と水平になるくらいまで、しっかりと腰を落とすようにしてください。

※)硬式木製による実打はまずは置きティーから始めれば良いと思います。動くボールを打つ場合はかなり短く持つ必要が有るでしょう。置きティーは素振りを挟みながら行なって下さい。


ホウキヒッチ(軽いホウキを使う事で、正しい連動を身体に憶えさせる練習です。この連動を忘れないように、ホウキ素振り自体は、少しづつで良いので出来れば毎日でも行なって下さい。手軽に部屋でも出来ると思います。ストレッチ無しで、5回、いや3回くらいで充分ですし、必ずしも反応素振りである必要は有りません。)

腸腰筋ストレッチ
体幹部操作1のストレッチ(塩ビパイプでグリップと股割りの関係を掴む)
腸腰筋ストレッチ
ホウキ反応素振り(完全に止まってから始動する)

※)日本人は、普通に野球をやってるとまず身につけることが出来ない連動のメカニズムです。これを子供の頃から身体に憶えさせる意味は大きいと思います。


揺らぎ円運動スイング(軽いバットで正しい動きを身体に染み込ませる練習です。)

腸腰筋その場ステップ
右打者で揺らぎ体操
左打者で揺らぎ体操
軽いバットで揺らいでからスイング(短く持ち、両手の間は少し離す)


※)置きティーで行なって下さい。やや手首の返しが強くなりやすい場合が有ります。それを防ぐためにはソフトボール3号などの大きなボールを使うと良いと思います。


前軸を作る練習

(ストレッチ)
前脚股関節の絞りパンチ(股関節の絞り)
前脚での踏み台昇降(股関節の伸展によって骨盤を前に運ぶ)
腰を突き出しながらの、前脚股関節の絞りパンチ(絞りと伸展のMIX)

(スイング)
バット回しスイング
前軸(タスキラインから前足に至るライン)スイング(グリエル)
頭前スイング(グリエル)
クラウチングスイング(マグリフ)
バット回しスイング

※)スイングは、全て、重心が高く、捻りを強調した構えで行ないます。また、基本的にはインコース寄りを振るようにしてください。その方が腰が大きく回るからです。クラウチングの場合は、腸腰筋をストレッチした後、膝を緩めた状態を作ります。

※)巻き戻しの躍動感を出す事や、ヘッドの抜けを良くする事が重要なテーマです。前脚の膝が開きやすくなる場合、アウトコース低めを振って調整してください。

揺らぎ~打ちに行く間(実戦同様のバットを使い、実戦感覚で行ないますが、やや揺らぎや、「間」に時間をかけても良いでしょう。)

腸腰筋その場ステップ6 スクワット6
腸腰筋ストレッチ
揺らぎ体操 左右打席で
揺らぎ~打ちに行く間を意識してスイング

※)体重を地面に落として、地に足が着いた状態から振ります。
※)ボールを打つ場合、自分でタイミングをコントロール出来る置きティーが適応します。そのため、このメニュでのスイングは置きティー2回素振り2回を繰り返す感じが良いでしょう。

前脚の膝内入り防止(ホセレイエスJr君の、最大の課題に直結するテーマです。まだ構えで前脚の股関節が割れていない事が多いので、そこも意識してください。)

腸腰筋その場ステップ
前脚だけで8の字揺らぎ体操
足裏の荷重位置に注意して素振り(拇指球はやさしく地面に触れるだけ。)

※)このテーマに関しては、今後も研究していく予定です。

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練習方法としては、以上です。当日、このメニューを繰り返し行なった事で、かなりポイントを憶えることが出来たと見ています。今後も継続して行なう事で、それぞれのテーマを忘れないようにして、また自分の中で消化出来るようにしていってください。やっていくうちに、おそらく自分のモノになっていくと思います。もちろん、アレンジ、味付けも出来るようになるでしょう。

後は後編で少し分析を書きます。