最強の下半身トレーニングを紹介したい。
その名も「サイレントピリオドBOXジャンプ」
私の命名したものの中では珍しくセンスが良いと自負している。
まず、投打のパワーは下半身強化抜きには考えられない。ただ、バーベルを用いたスクワット等は筋肉の硬化が著しいのでお奨め出来ない。良く「上半身は柔らかさ、下半身は強さ」と考えてか、下半身に関してはウェートトレーニングを積極的に取入れたがる向きも有るが、下半身こそ柔軟性が重要である。筋肉が硬化するとパフォーマンスの低下はもちろん、肉離れの可能性も有るし、その他様々な関節痛の原因にもなりうる。もちろん、トレーニング自体も危険で膝等の故障の原因になりかねない。一方、長距離走も野球選手にはお奨め出来ない。だいいち時間が勿体ない。
それでは野球選手の下半身強化として最適なトレーニングは何か。それは「短距離ダッシュ」と「垂直跳び」の二種目につきる。ただ、どちらも負荷が大きいが着地の衝撃も大きいのが難点だ。短距離ダッシュに関しては、その難点を「坂道ダッシュ」と言う形で解消している。一方、垂直跳びにおける「着地の衝撃の大きさ」という難点を解消したのが、動画の「サイレントピリオドBOXジャンプ」である。
ただ、動画を見ただけではピンと来ないかもしれないので、このトレーニングの意味を解説しておきたい。意味は大きく分けて2つ有る。
1)股関節の自然な動きを活用出来る。
通常のBOXジャンプでは自分の前に箱を置き、その上に飛び乗る。しかし、これだと前方に飛ぶと言う不要な動きが入る分、通常の垂直跳びに比べて、完全に重力方向の運動にならない。
そこで箱をまたいだ状態から飛ぶのだが、この意味は「股関節の斜め回転理論」を考えると解る。つまり、股関節屈曲の自然な形が股関節の割れなので、ジャンプする前にかがんだ時の姿勢としては股関節が割れているのが自然だから、箱をまたぐ姿勢も自然なものである。
次にジャンプするときだが、股関節伸展の自然な形が股関節の絞りだから、股関節伸展によってジャンプする時、股関節が内転するので脚を閉じるのが自然で、その結果、両脚の間にある箱の上に着地するのも自然な動きである。
このように通常のボックスジャンプと違い、自然な垂直跳びとその際の自然な体の動きを全く損なわずに行なえるのが、このボックスジャンプの利点である。
2)サイレントピリオドの利用
サイレントピリオドとは「意識的な動作として、筋肉が一気に大きな力を発揮しようとした直前に起きる一瞬の弛緩状態」の事で、これは意識的に力を抜く「脱力」とは全くの別物である。むしろその逆で「力を入れよう」と意識したその瞬間に起きる一瞬の筋肉の弛緩状態の事であり、スポーツ科学の分野でも研究されているテーマである。
この現象を利用すると、垂直跳びの中から「意識的な沈み込み動作」を省略する事が出来る。つまり直立した状態からいきなりMAXの力で上に跳ぼうとすると、その瞬間に下半身の筋肉にサイレントピリオドが発生し、結果として重力により自然に沈み込み動作が起きる。
サイレントピリオドを利用した沈み込み動作だと、意識的な沈み込み動作と異なり(膝関節と股関節を屈曲させる)筋肉の収縮を伴わないので、筋肉が弛緩した状態で引き伸されてくれる。この方が伸張反射の力を使いやすいし、筋肉の使い方としても、より次元の高い物だということはなんとなく想像がつくだろう。
※動画では、直立した状態からいきなり大きな力を出して(出来るだけ高く)真上に跳ぶことだけを意識している。その結果としてしゃがみ込み動作とバランスを取る腕の振りが無意識で起きている。練習して、この感覚を掴んでほしい。
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その他、このトレーニングを行なう際の注意点やポイントを挙げておく。
1)腸腰筋のストレッチを挟む
腰を反って腸腰筋をストレッチする運動を5回に1回は挟む事が大切になる。なぜなら、それによってしゃがみ込み動作の中で骨盤の前傾位が保ちやすくなるため、ハムストリングスによる股関節伸展の力も使いやすくなる。
2)割れ絞り系のストレッチを挟む
割った状態から絞ると言っても垂直跳びなので、直線的な動きがメインになりやすい。また、その直線運動の中でいかに割れと絞りを使えるかということも大きなテーマになる。なので間に股関節の割れと絞りの体操を挟む必要がある。座り割れ絞り体操が良いだろう。(座り割れ絞り体操は休憩にもなる。)頻度としては10回ごとに挟む感じで良い。余裕が有れば股割り体操も挟みたい。いずれにしても間にコマメにストレッチを挟む事がポイントになる。
3)しゃがみ込むときの姿勢
基本的にしゃがみ込み動作は無意識で起きる(無意識で起きるが認識する事は出来る)のだが、良いしゃがみ込み姿勢については理解しておく必要が有る。膝が前に出て、大腿四頭筋に負担が掛からない事が重要だ。爪先の上くらいに膝が有るくらいが丁度良い。そのためには構えでやや踵重心にしておく事。爪先重心にするとしゃがみ込む時に膝が前にでる。これだと膝を痛める危険性もある。また、しゃがみ込み姿勢を良くするためにも腸腰筋ストレッチを間に挟む事が重要になる。
4)構え(踵重心で膝は緩めておく)
構えで膝を突っ張っているとサイレントピリオドによる沈み込み動作が行ないにくい。ただ曲げてしまうと大腿四頭筋が効きやすい。だから「曲げる」でも「突っ張る」のでも無く「緩める」と言う感覚が必要になる。踵体重で膝を緩めると大腿四頭筋が緊張しないのが解りやすいと思うが、その状態を作る事が重要になる。また(3)で前述したように、踵重心にしておく事もハムストリングスを使うために重要になる。
5)ボックスの上にクッションを置く
着地の衝撃が小さいのがこのトレーニングの利点だが、難点が全く無いわけでは無い。それは股関節や膝関節が伸び切った状態で着地する事である。人間の体の自然な運動としては股関節や膝関節が曲がった状態で着地するというのは解りやすいだろう。だが、このトレーニングでは伸び切った状態で着地する。衝撃は小さいのでほとんど問題では無いが、あまり着地面が硬いと(屈曲動作による)クッションが効かないため、それなりの衝撃を感じる。(ロックするような独特の感覚が有り、一歩間違えると、そこに危険を感じる。)因に動画ではレンガブロックでボックスを作成したが、その後にクッションを付けた。レンガやコンクリート等のブロックでボックスを作る場合、なんらかのクッションを付けた方が良い。
6)最大限の高さを跳ぶようにする
当然の事だが、自分の最大限の力を出す事が重要になる。サイレントピリオドジャンプで(垂直跳びテストにおける)自分のMAXのポイントまで跳べるようにしてほしい。慣れないうちは意図的な沈み込み動作からのジャンプを加えても良いだろう。
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以上。自分で行なったテストでは一日50回、その次に一日100回を行なった。もちろん、特に痛めたり危険を感じたことは無い。筋肉痛は主に大殿筋、ハムストリングス上部、大腿四頭筋の外側(外側広筋)に出現した。実技に与えた影響としては投球時の後ろ脚ハムストリングスの効きが良くなった事と、打撃時の構えた時点でのハムストリングスの効きが良くなった事を感じた。もちろん、ジャンプ力も1回目より2回目の方が向上していた。
繰り返すが、垂直跳びは短距離ダッシュとならぶ最高の下半身トレーニングの一つである。が、衝撃が大きいために、今まではあまり繰り返す事が出来ない種目でも有った。しかし、このサイレントピリオドボックスジャンプならかなりの数を繰り返す事が出来る。しかも安価な道具で手軽に行なえ、場所も取らないし補助者も必要としない。高いレベルを目指すプレーヤーには特にお奨めしたいトレーニングだ。「坂道ダッシュ」と「サイレントピリオドBOXジャンプ」の2つを主力として下半身強化に励んでほしい。
もちろん、補助、いやむしろコアとして「股関節の割れと絞り」「黒人化」と言う二つのテーマに則って体を作った上でと言う事が重要になる。
その名も「サイレントピリオドBOXジャンプ」
私の命名したものの中では珍しくセンスが良いと自負している。
まず、投打のパワーは下半身強化抜きには考えられない。ただ、バーベルを用いたスクワット等は筋肉の硬化が著しいのでお奨め出来ない。良く「上半身は柔らかさ、下半身は強さ」と考えてか、下半身に関してはウェートトレーニングを積極的に取入れたがる向きも有るが、下半身こそ柔軟性が重要である。筋肉が硬化するとパフォーマンスの低下はもちろん、肉離れの可能性も有るし、その他様々な関節痛の原因にもなりうる。もちろん、トレーニング自体も危険で膝等の故障の原因になりかねない。一方、長距離走も野球選手にはお奨め出来ない。だいいち時間が勿体ない。
それでは野球選手の下半身強化として最適なトレーニングは何か。それは「短距離ダッシュ」と「垂直跳び」の二種目につきる。ただ、どちらも負荷が大きいが着地の衝撃も大きいのが難点だ。短距離ダッシュに関しては、その難点を「坂道ダッシュ」と言う形で解消している。一方、垂直跳びにおける「着地の衝撃の大きさ」という難点を解消したのが、動画の「サイレントピリオドBOXジャンプ」である。
ただ、動画を見ただけではピンと来ないかもしれないので、このトレーニングの意味を解説しておきたい。意味は大きく分けて2つ有る。
1)股関節の自然な動きを活用出来る。
通常のBOXジャンプでは自分の前に箱を置き、その上に飛び乗る。しかし、これだと前方に飛ぶと言う不要な動きが入る分、通常の垂直跳びに比べて、完全に重力方向の運動にならない。
そこで箱をまたいだ状態から飛ぶのだが、この意味は「股関節の斜め回転理論」を考えると解る。つまり、股関節屈曲の自然な形が股関節の割れなので、ジャンプする前にかがんだ時の姿勢としては股関節が割れているのが自然だから、箱をまたぐ姿勢も自然なものである。
次にジャンプするときだが、股関節伸展の自然な形が股関節の絞りだから、股関節伸展によってジャンプする時、股関節が内転するので脚を閉じるのが自然で、その結果、両脚の間にある箱の上に着地するのも自然な動きである。
このように通常のボックスジャンプと違い、自然な垂直跳びとその際の自然な体の動きを全く損なわずに行なえるのが、このボックスジャンプの利点である。
2)サイレントピリオドの利用
サイレントピリオドとは「意識的な動作として、筋肉が一気に大きな力を発揮しようとした直前に起きる一瞬の弛緩状態」の事で、これは意識的に力を抜く「脱力」とは全くの別物である。むしろその逆で「力を入れよう」と意識したその瞬間に起きる一瞬の筋肉の弛緩状態の事であり、スポーツ科学の分野でも研究されているテーマである。
この現象を利用すると、垂直跳びの中から「意識的な沈み込み動作」を省略する事が出来る。つまり直立した状態からいきなりMAXの力で上に跳ぼうとすると、その瞬間に下半身の筋肉にサイレントピリオドが発生し、結果として重力により自然に沈み込み動作が起きる。
サイレントピリオドを利用した沈み込み動作だと、意識的な沈み込み動作と異なり(膝関節と股関節を屈曲させる)筋肉の収縮を伴わないので、筋肉が弛緩した状態で引き伸されてくれる。この方が伸張反射の力を使いやすいし、筋肉の使い方としても、より次元の高い物だということはなんとなく想像がつくだろう。
※動画では、直立した状態からいきなり大きな力を出して(出来るだけ高く)真上に跳ぶことだけを意識している。その結果としてしゃがみ込み動作とバランスを取る腕の振りが無意識で起きている。練習して、この感覚を掴んでほしい。
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その他、このトレーニングを行なう際の注意点やポイントを挙げておく。
1)腸腰筋のストレッチを挟む
腰を反って腸腰筋をストレッチする運動を5回に1回は挟む事が大切になる。なぜなら、それによってしゃがみ込み動作の中で骨盤の前傾位が保ちやすくなるため、ハムストリングスによる股関節伸展の力も使いやすくなる。
2)割れ絞り系のストレッチを挟む
割った状態から絞ると言っても垂直跳びなので、直線的な動きがメインになりやすい。また、その直線運動の中でいかに割れと絞りを使えるかということも大きなテーマになる。なので間に股関節の割れと絞りの体操を挟む必要がある。座り割れ絞り体操が良いだろう。(座り割れ絞り体操は休憩にもなる。)頻度としては10回ごとに挟む感じで良い。余裕が有れば股割り体操も挟みたい。いずれにしても間にコマメにストレッチを挟む事がポイントになる。
3)しゃがみ込むときの姿勢
基本的にしゃがみ込み動作は無意識で起きる(無意識で起きるが認識する事は出来る)のだが、良いしゃがみ込み姿勢については理解しておく必要が有る。膝が前に出て、大腿四頭筋に負担が掛からない事が重要だ。爪先の上くらいに膝が有るくらいが丁度良い。そのためには構えでやや踵重心にしておく事。爪先重心にするとしゃがみ込む時に膝が前にでる。これだと膝を痛める危険性もある。また、しゃがみ込み姿勢を良くするためにも腸腰筋ストレッチを間に挟む事が重要になる。
4)構え(踵重心で膝は緩めておく)
構えで膝を突っ張っているとサイレントピリオドによる沈み込み動作が行ないにくい。ただ曲げてしまうと大腿四頭筋が効きやすい。だから「曲げる」でも「突っ張る」のでも無く「緩める」と言う感覚が必要になる。踵体重で膝を緩めると大腿四頭筋が緊張しないのが解りやすいと思うが、その状態を作る事が重要になる。また(3)で前述したように、踵重心にしておく事もハムストリングスを使うために重要になる。
5)ボックスの上にクッションを置く
着地の衝撃が小さいのがこのトレーニングの利点だが、難点が全く無いわけでは無い。それは股関節や膝関節が伸び切った状態で着地する事である。人間の体の自然な運動としては股関節や膝関節が曲がった状態で着地するというのは解りやすいだろう。だが、このトレーニングでは伸び切った状態で着地する。衝撃は小さいのでほとんど問題では無いが、あまり着地面が硬いと(屈曲動作による)クッションが効かないため、それなりの衝撃を感じる。(ロックするような独特の感覚が有り、一歩間違えると、そこに危険を感じる。)因に動画ではレンガブロックでボックスを作成したが、その後にクッションを付けた。レンガやコンクリート等のブロックでボックスを作る場合、なんらかのクッションを付けた方が良い。
6)最大限の高さを跳ぶようにする
当然の事だが、自分の最大限の力を出す事が重要になる。サイレントピリオドジャンプで(垂直跳びテストにおける)自分のMAXのポイントまで跳べるようにしてほしい。慣れないうちは意図的な沈み込み動作からのジャンプを加えても良いだろう。
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以上。自分で行なったテストでは一日50回、その次に一日100回を行なった。もちろん、特に痛めたり危険を感じたことは無い。筋肉痛は主に大殿筋、ハムストリングス上部、大腿四頭筋の外側(外側広筋)に出現した。実技に与えた影響としては投球時の後ろ脚ハムストリングスの効きが良くなった事と、打撃時の構えた時点でのハムストリングスの効きが良くなった事を感じた。もちろん、ジャンプ力も1回目より2回目の方が向上していた。
繰り返すが、垂直跳びは短距離ダッシュとならぶ最高の下半身トレーニングの一つである。が、衝撃が大きいために、今まではあまり繰り返す事が出来ない種目でも有った。しかし、このサイレントピリオドボックスジャンプならかなりの数を繰り返す事が出来る。しかも安価な道具で手軽に行なえ、場所も取らないし補助者も必要としない。高いレベルを目指すプレーヤーには特にお奨めしたいトレーニングだ。「坂道ダッシュ」と「サイレントピリオドBOXジャンプ」の2つを主力として下半身強化に励んでほしい。
もちろん、補助、いやむしろコアとして「股関節の割れと絞り」「黒人化」と言う二つのテーマに則って体を作った上でと言う事が重要になる。