2013年4月9日火曜日

藤浪晋太郎はパンチャー



意外にもパンチャーである。これだけ腕が長いとボールも体から遅れて出て来るので、スインガー的なイメージが有るが、実はパンチャー。

ポイントは体幹部の前屈。(もちろん、腕の振りもスローでチェックしての判定。)この動きを明らかに筋肉の力でやっている感が有る。つまり「エイッ」と力を入れて投げるその意識が体幹の前屈運動に表れている。日本人では村田兆治と山口高志(元阪急豪速球投手)がこのタイプのパンチャーだ。

同じパンチャーでも、始動ポジションのタイミングや形、その他諸々の要素によって様々なフォームが有る。藤浪と似たタイプのパンチャー右腕(体幹の前屈が目立つタイプ)が、今のMLBの一線級でも2人思い浮かぶ。もうあと何人かいた気がするが、ちょっと出て来ない。

ジェームズ・シールズ 
2012/09/27 Shields' solid start

マックス・シャーザー
2012/09/12 Scherzer wins No. 16

こういったタイプは、どちらかと言うと始動ポジションの形成が遅めで、その抜く系の変化球が投げやすいようだ。なので、スライダーやカーブの投げ方がややスインガーっぽい。

ちなみに、藤浪のフォームについては、やはり手が体の前に出過ぎて重心が爪先寄りにな
り、骨盤が後傾し、ハムストリングスが使えず、膝が折れると言う、日本人特有の問題を抱えている。ただ、大谷に比べると我流フォームの感が強いので、ワンポイントアドバイスでどうこうと言うケースでは無い。

因に、大谷と近いタイプの投球フォームのメジャーリーガーと言えば、ジョシュ・ベケットだろう。


投球スタイルに関しては、藤浪はフォームから考えると、究極的には豪速球投手では無いと思う。むしろクセの有る面白いボールを投げそうな感じがするので、その意味では期待出来る。ダルビッシュに構えが似ているが、投球スタイルも似てくると面白いし、藤浪の方がよりクセの有る球を投げるはずだ。

ダルビッシュが成功しているのは、メジャーの投手を良く研究しているからでは無いか。「変化球が多い=軟投派」のイメージをくつがえしている所が良い。今は本格派が変化球を多投する時代なのだが、日本のエース級の多くは本質的にはストレートと変化球と言う投球スタイルの投手が多い気がする。日本だとストレート勝負=真っ向勝負と言う感覚が有るのだろうが、南米系の投手はアドリブの技が豊富なジャズミュージシャンのような感覚でいろんなボールを投げて打者との勝負を楽しんでいる。そのへん、変化球=逃げの投球と言う感覚が未だに残る日本との感性の違いだろう。