2013年4月10日水曜日

西武の金子



スイッチヒッターの選手だが、骨格の形が中々良い。特に1.38からの右打席の構えを見ると、それが解る。腰椎が前彎しながらも、胸椎がしっかりと後彎しているので懐の深さを感じさせる構えになっている。そして、骨盤が縦に短い。典型的なアスリート向きの骨格である。

ただ、この選手はスイッチヒッターなのが勿体ない。右一本に絞った方が面白い気がするが。左が「何処にでもいるような走り打ち系」なのに対し、右の構えの懐の深さには類い稀なものを感じる。

基本的にスイッチは左打席に立つ事が多いので、左の方が上手くなるし、左でバットを振る機会の方が多くなる。

左右で練習してみると解るが、右打者が左で振り込むと、右のスイングがドアスイングになる事が有る。本来、スイングは体の各部の回転が僅かにタイムラグを開けながら、順番に回転していく。そして、その絶妙なタイミングを上手い人ほど「体で憶えている」

しかし、あまりに逆の打席のスイングを繰り返すと、そういう「良い連鎖の記憶」を壊してしまい、一時的にスイングがドアスイングになる。(上半身と下半身が全部一緒のタイミングで一枚の板のように回るのでドアスイングになる)

もちろん、元々の技術が有ると、少し振っただけでそれは修正出来るので、逆でのスイングは良い練習になる。しかし,プロレベルでも、スイッチヒッターになるほど左で振り込むと、やはり右のスイングが悪影響を受けるのだろう。そのため、今のメジャーのスイッチを見ても、右打席がドアスイングの打者が非常に多い。金子もややバットが外から出て来て、フォローが小さく、前脚が開く。こうしたあたりにスイッチヒッター特有のものを感じる。

では、メジャーのスイッチで右のスイングが外回りになっている例を見てみよう。

ダニー・エスピノザ 右打席 左打席
ブライアン・ロバーツ 右打席 左打席
カルロス・ベルトラン 右打席 左打席
カルロス・サンタナ 右打席 左打席

いずれの選手も、右打席では、スイングの回転で、腰と肩の回転が同時で体が一枚の板のように回転し、その結果、スイングが外回りになっている。もちろん、阪神の西岡にもそういう傾向は有る。

スイッチヒッターは基本的に左で振る方が多い。(右投手の方が多いので)だから、スイングも左の方が良い場合が多い。しかし、金子の場合、スイッチにしては右のフォームが良い。右打席だけを見て、スイッチだと解る場合が有るが、金子の場合、言われなければ気が付かない。その意味でも、このくらい右で打てるのなら、右に絞った方が良いのでは無いか。