2012年6月6日水曜日

この黒人を見よう

スポーツに限らず、俳優や歌手にも優れた身体感覚を備えた黒人は数多くいます。反対にスポーツ選手であっても、黒人的な身体運動上の優位性を充分に利用出来ていない選手もいます。このページでは、身体運動の表現力において優れている黒人の有名人を紹介します。ただ、音楽や映画にあまり詳しい方では無いので、知っている範囲と言う事になりますが。


MC Hammer

90年代初期に日本にラップブームをもたらしたアーティストです。ただ、あまりにポップ過ぎて、いわゆる商業的な路線のため、音楽の世界ではあまり評価されていないようです。しかし裏を返せば、それはプロのパフォーマーと言う事でもあり、実際に筋力トレーニング等アスリート的な取り組みをしていた事も知られています。超絶な身体能力とリズム感は必見です。歌手と言うよりもアスリートとして評価されるべき人間なのかもしれません。

★Baby Face (Kenneth Brian Edmonds)

歌手兼、プロデューサー。日本で言うと小室哲哉のような存在と言えば解りやすいでしょう。オバマ大統領やデンゼル•ワシントンに通じる上流階級系の黒人特有の身体表現をするタイプです。



動画を見ると、胸椎後湾のアーチが高い位置に形成されており、胸は凹んで見えます。筋力トレーニングで大胸筋が発達すれば別ですが、そうでない場合、黒人体型であれば胸が凹み気味に見えるのが特徴です。これは全てのシーンに通じて言える事ですが、決して胸を張って背筋を伸ばしてはいません。また椅子に座った時の姿勢も素晴らしい。

首が突き出されているように見えるのは脊柱のS字カーブのクビレが効いているため、胸椎の後湾とともに頸椎の前湾が顕著になるからです。

スーツの着こなし的に着やせして見えるのも特徴的で、骨盤が前傾している場合、腹筋にテンションがかかるため、腹筋が締まるのです。そのため、身体の前面が全体的に盆地のように凹んで見えるわけです。こういう体型の人は着やせして見えます。

上段の動画の1.28からのシーンで中腰になってリズムを取る時に、胸椎後湾の凸アーチが高い位置に形成されるのも特徴的で、日本人だと腰椎が後湾するので、逆に胸椎が前湾してしまう腰の引けた姿勢になってしまう事が多いのです。

Baby Face が身体運動的な見地から語られる事は皆無に等しいと思われますが、その見地から見ても、非常に洗練された一流の感覚を持っている事が解ります。

★Denzel Washington

俳優。一挙一動が注目に値する、優れた身体表現能力を持っています。動画でも手の平が後ろを向く黒人特有の歩き方をしています。胸椎が後湾し、左右の肩甲骨が外転すると、そういう状態になるのです。もちろん、これはワザとやっても無理な姿勢になるだけで意味は有りません。普通に歩いてそうなる所に黒人の凄さが有ると言うわけです。0.24からのアップのシーンではグイグイと前に進む感じが有りますが、これはハムストリングスによる股関節伸展が上手く使えているためです。




★Barack Obama

アメリカ大統領。バスケットボールをしていただけあって、身体運動の感覚が非常に優れています。胸椎の後湾が高い位置に形成されているので、肩甲骨が上手く被さり、そこから上腕が吊られた状態になっています。ラボでの経験上、このような傾向が有る人はバットを自然に良いポジションに構えられるようです。



★Will Smith 


歌手兼俳優。動画冒頭のスウェット姿を見ても、やはりBaby Face 同様に胸が凹んでいるように見えます。こういう体型の黒人は筋がいい事が多いのです。

踊っている所を見て、日本人と最も違うのは中腰になった時に腰椎が後湾せずに、胸椎後湾のアーチを高い位置に保てている事ですね。この違いが大きいのです。腰椎が後湾すると骨盤が後傾し、大腿四頭筋が効くため、ハムストリングスが使えません。そうなると、アップダウンでリズムを取る時に膝の屈伸が中心になるので、脊柱でリズムが生み出せず、腕のしなやかな振りで誤摩化さざるを得ないわけです。

本当にリズムを取る事が上手い黒人は、腕をあまりフニャフニャさせず、リラックスさせたまま体幹にロックさせて、余計な波を生み出さない事で、より体幹部で生み出した動きの波をクリアーに表現します。ただ、ヒップホップ系の場合は、動画でも見られるように、比較的腕をフニャフニャさせて使います。こういう細かい仕草や振りには時代時代で流行があるようです。ある意味、そういう(表層的な)動きは日本人にもマネしやすいため、(ヒップホップは)日本人に受け入れられやすかったのかもしれません。あの独特の手振りをしていれば何となくそれっぽく見えるからマネしやすいのです。



★Basket Ball Players

バスケットは黒人選手の独壇場ですが、特に日本人と比較した場合、もっとも差が出るのが中腰になった状態での動きです。バスケットで要求される事が多い中腰での運動において、大きな差が出るのです。

黒人の場合、中腰になった時に腰椎が後湾しにくいので、大腿四頭筋が緊張しにくく、フットワークが軽やかに保たれやすいですし、腰椎が後湾しない事で胸椎の後湾がキープしやすいので、その上に肩甲骨が被さった状態をキープ出来るため、中腰での腕の操作性が良く、パワーも発揮しやすいのです。

股関節伸展によるジャンプ力で差が出やすいのは当然ですが、中腰での動作においても、差が出やすいのです。日本人の場合、中腰で腰椎が後湾しやすいので大腿四頭筋が効いてフットワークが鈍くなりやすいですし、胸椎の後湾がキープしにくいので、肩甲骨を僧帽筋で支える必要が生じ、腕の操作性が低下し、パワーも発揮しにくいのです。



また、ダンクシュートや、空中でボールを左右に振る動き等、無理な姿勢、特に空中での腕の操作性が良いのも黒人の特徴です。これは様々な姿勢において脊柱のS字カーブがキープされているので、肩甲骨が被さり、腕が操作しやすくなり、かつ力強く使えるのです。下の動画の LeBron James のダンク(0.07)もさほど派手では有りませんが黒人特有の動きです。LeBron James も非常に黒人的な身体運動の特徴が出ている選手です。



1988's Dunk Shoot